春と言えば就職や進学と言った、新しい環境での生活がスタートし、ワクワクと心躍るようなことを連想される方が多いかと思います。
そんな春の4月ではありますが、同時に「花粉の季節だな…」と思った方は多いはず…。
また、冬の冷たい風と、夏に向けての暖かい風が日によって変わることで、化粧ノリが悪いと感じる方も多いです。
気分は前向きになることが多い季節ですが、お肌を取り巻く環境としては、かなり不安定かつ難しい季節です。
今回はそんな難しい「4月のお肌状態」について詳しく解説していきます。
肌が不安定になる要因
意外かもしれませんが、春は夏よりもお肌の油分が多い季節なのです。
流れるように汗は出ませんが、気温の上昇によってじんわりと汗をかくため、汗や皮脂の分泌が活発になり、ベタつきやすくなります。
そんな春だからこそ注意したい原因を、さらに詳しく深堀りしていきます。
花粉・ホコリ・黄砂
スギやヒノキといった花粉による症状や、ハウスダスト(ホコリ)によってくしゃみや鼻水、お肌がかゆくなる症状を総じて「花粉症」と呼んでいます。
この症状が発生する仕組みは、花粉やハウスダスト、アジア大陸から風で運ばれてくる細かな砂である黄砂に対しての「アレルギー反応」です。
アレルギー反応を引き起こす外的刺激物質のことを「アレルゲン」と言い、このアレルゲンを吸い込んだり、お肌に触れて角質層の奥まで侵入してしまうと、免疫機能が過剰に働きかゆみや赤み、くしゃみや鼻水と言った症状が引き起こされます。
また、3月下旬から4月上旬がピークである、スギ花粉の場合、普段は活動していない「トロンビン」というタンパク質を分泌・活性化させてしまいます。
トロンビンは「血液凝固因子」として今まで知られてきましたが、最近の研究で、トロンビンを活性化させてしまうことによって、表皮細胞でこのトロンビンから肌を守ろうと免疫機能が興奮状態になることが判明しました。
その結果、スギ花粉によってアレルギー反応を引き起こすことになります。
また、くしゃみや鼻水、目のかゆみは一般的に知られていますが、肌荒れを実感し、関連付けている方はまだまだ少数です。
しかし、「花粉皮膚炎」という疾患があるくらい密接に関わっています。
花粉皮膚炎とは?
その名前の通り花粉によって引き起こされるアレルギー反応です。
症状としては、皮膚に赤いブツブツ、発疹ができたりかゆみを引き起こし、さらには腫れやむくみ、皮膚がいつもよりカサカサに乾燥する症状も現れることがあります。
注意が必要なことは、花粉症の代表的な症状である、くしゃみや鼻水、目のかゆみの症状がなくても「花粉皮膚炎として発症する可能性がある」ということです。
花粉等の検査でアレルギーがないと診断されたとしても、細かい微粒子の接触刺激でも花粉皮膚炎は引き起こされます。
紫外線
紫外線と言えば夏に強いイメージですが、春は日差しが柔らかいだけで2月後半から紫外線の量は増加し、強くなっていきます。
4月になると7月に引けを取らないくらいの日差しなので、夏と同じ様に日焼け対策をする必要があります。
紫外線による肌荒れというのは、お肌のバリア機能に必要な肌細胞を紫外線が攻撃し、ダメージを負うことで乾燥、お肌トラブルへと繋がっています。
乾燥することで、その乾燥を補うために油分がたくさん分泌され、夏よりもジトッとベタつくお肌になり、毛穴つまり等のトラブルが発生します。
この時に浴びる紫外線は、バリア機能の低下により一層、炎症や色素沈着と言った肌老化を進めてしまいます。
ストレス
お肌トラブルと心は、かなり密接に関わっています。
新しい環境に心を躍らせる反面、慣れない環境によって心と体に少しずつストレスが溜まっていきます。
過度なストレスがかかり続けることで、自律神経のバランスが乱れ、末端の血管を収縮させてしまい、本来お肌に取り込まれるはずだった栄養素が取り込まれず、新しく分裂するお肌細胞が不完全な状態のまま表皮まで上がり、お肌のバリア機能が低下し乾燥を招きます。
また、お肌の生まれ変わりの周期(28日間)であるターンオーバー自体を乱してしまったり、正常な細胞分裂や細胞の活動が出来ず、免疫力も低下してしまいます。
さらにストレスが与える影響はホルモンバランスにも関係があり、副腎皮質刺激ホルモンや男性ホルモンの分泌を促してしまうので、お肌がベタベタしたりニキビが出来やすくなってしまいます。
一見関係のなさそうなシミやそばかすですが、過度なストレスによってメラニン色素が必要以上に生成されてしまい、目立つようになったり増えてしまいます。
寒暖差
冷房や暖房はもちろんですが、そもそもの気温の変化が激しいことも、お肌にとってはかなりストレスになり、肌の水分バランスが乱れやすくなります。
肌荒れの原因
「お肌状態が不安定になる要因」によって、お肌が実際に荒れる原因の症状は主に2つあり、「バリア機能の低下」と「酸化ストレス」です。
バリア機能の低下
お肌の表面には「わずか0.02mmの角質」があり、その角質が外部の刺激から体を守るために、バリア機能を担っています。
外からの刺激だけではなく、角質の内側にある水分や細胞間脂質が蒸発したり、失うことも防いでくれています。
お肌に弾力やハリがあり、お肌のうるおいが保たれているのは角質の機能が機能しているからです。
具体的には、お肌のうるおいを保っていたり、細胞の水分を蓄える役割以外に、バリア機能には花粉やハウスダスト等のアレルゲン物質や細菌の侵入を防ぎ、乾燥や紫外線からも体を守ってくれています。
本来角質に蓄えていた水分や細胞間脂質が、何かしらの要因で減少してしまうと、角質細胞の間に隙間が出来てしまい、その隙間に花粉等のアレルゲン物質が侵入することで、より炎症や赤みが現れます。
冬という一番乾燥しやすい時期を過ごした後に、春の寒暖差やストレス、紫外線からの刺激が加わることで、例年花粉症の症状が出ていなかったり、肌荒れがなかったとしても、いつ発症するかわからない…ということになります。
酸化ストレス
あまり聞き馴染みがない方が多いと思いますが、酸化ストレスとは、「酸化反応によって引き起こされる、身体にとって有害な作用」のことを言います。
私たちは呼吸によって酸素を体に取り入れ、食品によって取り入れた栄養素をエネルギーへするために燃やすこと、これがそもそも「酸化」と呼ばれます。
ただ、この酸化という現象を体の中で行っているので、必然的に体の細胞が酸化によって傷付くことがあり、これを「酸化ストレス」と言います。
体には抗酸化機能(活性酸素等を取り除く機能)が備わっていますが、抗酸化が追い付かない状態になると酸化ストレスが体の中に溜まってしまいます。
その溜まる原因こそが、ストレスや紫外線と言った要因で、春特に4月にその要因が多くあるため肌荒れがしやすくなる、という構造です。
体内の酸化ストレスが高い状態が続くと、お肌トラブルはもちろん、様々な病気においても酸化ストレスによって変化した分子が体内に蓄積され、症状を引き起こすことが判明しています。
例えば糖尿病だと、酸化された糖とタンパク質が結合し、異常な糖化タンパク質が増えているそうです。
体内で生成される酸化の原因である「活性酸素種(ROS)」は、ある程度の数であれば健康に欠かせませんが、過剰に蓄積されるととても危険にも関わらず、特に紫外線や大気汚染物質が肌の活性酸素を発生させ、酸化ストレスを引き起こさせます。
そのため、春の肌荒れの原因がこの酸化ストレスの場合が多いです。
肌荒れ対策
春はとても肌が荒れやすい状態にあると伝わったかと思います。
では次に、そんな春に行うべき肌荒れ対策についてお伝えします。
花粉対策
とにかく花粉やハウスダスト、黄砂と言ったアレルゲン物質と、お肌が触れないようにすることが大切です。
マスクやメガネ、サングラスだけではなく、花粉が付着しにくいツルツルとした服を着用したり、家に入る前に目には見えなくても軽く服をはたくだけでも効果があります。
可能であれば黄砂や花粉が酷い時の外出を控えたいところですが、お仕事の都合等あるかと思いますので、空気清浄機を使用したり、帰宅後すぐにお風呂に入る等で防いでいきましょう。
保湿
とにかくお肌が乾燥しやすいため、美白に特化した化粧水や乳液よりも、保湿に特化した化粧水と乳液を使用して、美白等の効果は美容液で補うようにします。
特にセラミドやヒアルロン酸等の保湿成分が配合された商品を使用しましょう。
オールインワンを使用する方にとっては手間だと感じるかもしれませんが、化粧水と乳液にわけ、しっかり水分と油分のバランスを整えられるスキンケアを行うことで、肌のざらつきはかなり改善されます。
紫外線対策
7月や8月と同じように紫外線対策をしっかりと行いましょう。
UVカットのサングラスや日傘、UVカットできるファンデーション等の物理的に紫外線を排除することはもちろん、メラニンの発生を抑制しシミやそばかすに効果があるトラネキサム酸や、肌荒れ防止成分であるグリチルリチン酸塩等が配合されたお化粧品を使用し、角層を満たしてくれるアイテムがおススメです。
バランスの良い食事
体の外側だけではなく、内側からもケアする必要があります。
特に乾燥が気になっている方は「タンパク質・ビタミンB2・ビタミンB6・ビタミンC」を積極的に食事に取り入れましょう。
タンパク質はお肌のサイクルであるターンオーバーの活性化には欠かせないので、お肉や魚、大豆や卵がおススメです。
ビタミンB2はエネルギー代謝に欠かせない成分で、疲労にも効果的なので、レバーや納豆、アーモンド等がおススメです。
ビタミンB6はビタミンB2と同様の効果もありますが、皮脂の分泌をコントロールする役割があるので、鶏肉やマグロ、カツオ等がおススメです。
ビタミンCは抗酸化作用もありますし、お肌の細胞を支えるコラーゲンの生成に欠かせないので、いちごやキウイ、ブロッコリーに柑橘類等がおススメです。
最後に
意外とトラブルになり得る要因と原因と症状が多い春ですが、肌荒れ対策をしっかりと行うことで、防げるトラブルも多いです。
前向きになる季節だからこそ、お肌の状態も良い状態でスタートしていけるよう、対策を実践して、いつまでも素敵な若々しいお肌を目指しましょう。