私たちの皮膚は「身体の中で最も大きな器官」で、外的刺激から身体を守りつつ老廃物を排泄している、とても多様な役割を持っています。
そんな皮膚について構造や役割、ケアについてまで徹底的に解説していきます。
Contents
皮膚の構造
一言で構造と言えど、皮膚は大きく3層に分かれており、それぞれ「表皮・真皮・皮下組織」と言い役割が違います。
日本人(成人)は平均だいたい1.6㎡(約畳1枚分)の大きさで、体重の約15%を占めています。
表皮の構造
表皮の主な役割は、外面に触れているために発生する紫外線や摩擦、細菌といった「外的刺激から身体を守ること」です。
わずか0.2mm程度の厚みしかありませんが、身体の中への細菌等の侵入を防いでくれています。
構成する細胞は、「角化細胞」が90%を占めており、「メラノサイト(色素細胞・メラニン細胞)」と「ランゲルハンス細胞」が残りの10%以下で出来ています。
角化細胞
表皮には「角化細胞」と呼ばれる細胞があり、皮膚表面に現れるまでに4つの層があり、その層によって成り立っています。
基底層(きていそう)
表皮を構成する要素の一つで、表皮の一番内側に存在する「増殖性細胞(基底細胞)」で出来ている細胞層です。
その下に存在する真皮と接触しており、その接着している面には「基底膜」という膜があります。
近くに真皮の乳頭体の毛細血管が通っており、血液から栄養分や酸素を受け取ったり、細胞分裂による新しい「ケラチノサイト」を作り出す環境が整っており、表皮全体の機能調整等も行っています。
基底細胞は小さく正方形に近い形をしており、この後紹介する有棘層(ゆうきょくそう)から顆粒層(かりゅうそう)へ進むにつれて、大きく扁平(へんぺい)になっていきます。
基底層で細胞分裂したケラチノサイトのうち1つは基底層に残りますが、もう1つは表皮へ押し上げられ角質細胞やアカとして剥がれ落ちる様になり、剥がれ落ちるまで約28日間(4週間)かかり、この28日間のサイクルを「ターンオーバー」と言います。
基底層は真皮と接着していることもあり、真皮を守る役割を持っており、基底層から上の層である表皮はターンオーバーによって傷が出来ても元に戻ることが出来ますが、真皮はターンオーバーと関係ないため、真皮に傷が出来ると完全に元に戻ることはありません。
そのため、真皮を守る大切な役割を担っています。
また、基底層には「ケラチノサイト」以外に「メラノサイト」という細胞が存在します。
ケラチノサイトとは?
皮膚の損傷に対しバリアを形成します。
また、ケラチノサイトはケラチンを生成する細胞で、食堂や口腔、角膜等の粘膜には扁平上皮のケラチノサイトが見られ、ランゲルハンス細胞とリンパ球の両方を維持しています。
ケラチンはケラチノサイトに含まれる主要なたんぱく質で、細胞骨格を形成しており、毒素や病原体の侵入を防ぐ物理的なバリアの機能があります。
さらには体内から水分や熱が失われない様に防ぐ効果や、爪や髪の毛にもケラチンは関係があります。
メラノサイトとは?
皮膚にある成熟したメラニン生産細胞のことで、基底細胞に挟まれて点在していますが、表皮細胞の内約5%程度しか存在しておらず、樹木の枝を広げた様な形をしています。
メラノサイトは突起を角化細胞の中へ突き刺し、生産したメラニンを注入し、表皮全体へ行き渡らせます。
紫外線が肌に当たった時、そのダメージを内部に浸透させないように、紫外線を吸収しメラニンを作り出すことで肌を守る働きをしています。
また、紫外線以外でもターンオーバーが乱れたり、卵胞ホルモンや黄体ホルモン、脳下垂体ホルモンが血中に増えたり、摩擦による刺激によっても、メラニン色素は生成されます。
メラニンは黒い色素なので、排出が間に合わなければシミや黒ずみとして、肌に残ってしまいます。
有棘層(ゆうきょくそう)
基底層のすぐ上に存在し、ケラチノサイトが基底層から押し上げられた細胞が3〜10層近く並んでいる層で、表皮で最も厚い層です。
有棘層と呼ばれるのは、基底細胞が細胞分裂を繰り返す時に、トゲの様な突起を持った有棘細胞へと変化し、さらに細胞同士がトゲで繋がっている様に見えるため有棘層と呼ばれています。
有棘細胞間にはリンパ液が流れており、真皮から酸素や栄養素を受け取ることで、その外側に存在する顆粒層や角質層を構成するたんぱく質も生成するため、肌を健康に保つために重要な役割を担っています。
さらに、有棘細胞以外に「ランゲルハンス細胞」と呼ばれる細胞があり、ヒトデの様な形をしています。
ランゲルハンス細胞とは?
表皮細胞の残り5%を占めており、有棘細胞間に存在しています。
メラノサイトの様に多くの突起を持った細胞で、細菌やウイルス等の有害物が皮膚に侵入した時、リンパ球に異物の侵入を伝達し、免疫反応を活性化させ有害物を処理し、身体を守る役割をしています。
ランゲルハンス細胞は複数の突起を伸ばしあって網目状にネットワークを形成し、異物の侵入を察知して取り除いてくれます。
ただ、この時過剰に反応することでアレルギー反応が引き起こされます。
特に、異物の侵入等がなければ、ターンオーバーによって排泄されます。
また、皮膚内部の状態を察知する機能は、皮膚が正常に機能しているかを見張る役割でもあり、さらに外的刺激により炎症等が起こった際は炎症を鎮静化させると言った、「皮膚内部を正常に保つ働き」があります。
顆粒層(かりゅうそう)
有棘層の外側に存在し、1〜3層の細胞で出来ており、紫外線の侵入を防ぐケラトヒアリン顆粒が大量に含まれた、扁平な形をした顆粒細胞からなる層です。
また、顆粒を構成するたんぱく質が角化によって分解され、生成されたアミノ酸がNMF(天然保湿因子)の主成分となることで、セラミド等の保湿成分を生産し、皮膚の保湿に役立っています。
ケラトヒアリン顆粒とは?
表皮の顆粒層に多く見られるたんぱく質で、通常の細胞と違い「膜で包まれない不定形であること」が特徴です。
ケラトヒアリン顆粒は、顆粒層から角質層へ向かうと分解されなくなってしまいますが、分解されることでさらにアミノ酸によって分解されNMF(天然保湿因子)の主成分になります。
ケラトヒアリン顆粒がフィラグリンに変化すると、角質層でケラチン繊維の凝集を促進する働きがありますが、顆粒細部自体は凝集反応が起こりません。
よって、ケラトヒアリン顆粒には、細胞が生きて働いている間凝集しないように、ターンオーバーや角化を調整する働きがあると考えられています。
ガラスの様な質感のあるブツブツとした顆粒のため、光を屈折させる性質があります。
その性質のおかげで紫外線ダメージを軽減する働きが期待できます。
角質層(かくしつそう)
肌の一番表面にある層で、角層とも呼ばれています。
顆粒層から角質層へ移る過程で細胞の核が失われてしまうため、10〜20層もの死んだ扁平なケラチノサイト(表皮細胞)が板状に薄く重なって肌を覆っている状態です。
角質層の暑さは0.02mm程で、下から押し上げてくる角質細胞によって、一番表面にある死んだ角質細胞に隙間が生まれ、アカやフケとして自然と剥がれ落ちていきます。
この角質層が皮膚に触れる外的刺激から身体を守り、内部の水分が蒸発しないように防いでくれています。
この働きを「バリア機能」と呼び、バリア機能が低下するというのは、角質層の隙間がたくさん生まれている状態です。
真皮の構造
皮膚の中間層である真皮は皮膚層の中で一番厚く、平均して2mmで背中の最も厚い場所で約3mmあり、まぶたや耳たぶは0.6mm以下と薄いのが特徴です。
役割としては「皮膚の形や弾力を保つ」ことです。
真皮はコラーゲンやエラスチンなどの線維成分で構成されており、ゼリー状のヒアルロン酸も含まれています。
これらの成分によって身体を守るクッションやバネの役割を担い、肌を押してもすぐに元に戻る弾力性を生み出しています。
また、真皮には乳頭層と網状層があり、乳頭層は表皮と繋がっており、毛細血管を通して表皮に栄養分や酸素を与え、神経によって「熱い・冷たい・痛い等」の刺激を受け取り脳へと伝達しています。
加齢や生活習慣によって真皮の細胞が減少・断片化することで、たるみやシワが生まれてしまいます。
さらに細かく層を分けると「真皮乳頭層・乳頭下層・網状層」とあります。
真皮乳頭層
先にお伝えした表皮と引っ付いている部分のことを指し、線維成分は疎、毛細血管と末端の知覚神経に富んでいます。
そのため「血管層」という場合もあります。
乳頭下層
真皮乳頭層よりも内側にある神経系や脈管がある部分のことを指します。
網状層
この層が真皮の大半を占め、内側は皮下脂肪と接しています。
繊維成分が多いため、肌のハリにとても重要な役割を果たしており、膠原繊維(コラーゲン繊維)や弾力繊維(エラスチン)、繊維芽細胞(コラーゲン・エラスチン・ムコ多糖類)がこの層に含まれます。
皮下組織
最後に皮膚の最深部に存在する皮下組織についてですが、主な役割としては「皮膚と筋肉と骨をつなぎ合わせること」また「皮膚の安定性を保つこと」です。
表層筋膜(浅筋膜)とも呼ばれ、筋肉と皮膚の間に隔てる様に存在しています。
ただ、表皮と真皮の間の様にはっきりと境界があるわけではなく、真皮と皮下組織はあいまいな境界が多いです。
さらに皮下組織は大半が脂肪細胞で構成されているので、よく聞く「皮下脂肪」はここに当たります。
その他に役割としてあるのは「エネルギーの貯蔵」や「体温調節」、「身体の内側を守るクッション」等様々です。
自宅で気を付けるポイント
とても細かくお伝えしましたが、それ程皮膚にはたくさんの機能や役割があります。
外的刺激から身体を守っているということは、それだけ外的刺激を真っ先にすべて受け取る器官なので、正しくケアを行う必要があります。
お肌のターンオーバーが乱れることで、季節問わず乾燥肌になってしまったり、自分でお顔をほぐす時に繊維を傷付けてしまってたるみを加速させてしまうこともあります。
また、美容成分をお化粧品で補おうとしても、スキンケアによって美容成分が届くのは表皮の角質層の部分までなので、「肌の奥まで浸透する」と思って真皮層まで届けているつもりでも、届いていなかったという方がかなり多いです。
一日に何度も洗顔しない
例え、皮脂が気になったとしても、一日に何度も洗顔を行うと角質層の隙間をどんどん広げることになってしまうので、多くとも朝と夜の2回までにとどめましょう。
保湿は必ず行う
お肌がゴワゴワしていても、まだしていなくても必ず保湿を行います。
化粧水を塗った後はしっかり乳液で蓋をして水分の蒸発を防ぎます。
日焼けをした後はいつもより入念に保湿ケアを行う必要があるため、フェイスパック等で長めに保湿を行いましょう。
最後に・サロンをおススメする理由
自分のお肌が今どんな原因で乾燥しているのか、ニキビ等の肌トラブルが生まれているのか、そういったことを正確に判断をするためには、専門家に尋ねるのが一番です。
お顔のどの方向に筋肉をほぐしてあげるのか、どんな力加減で行うのか、そういったポイントでも間違ってしまうとお肌を傷付けてしまう原因になるため、ぜひフェイシャルエステへ足を運んでみてください。